すると、彼の足元でペタンと床に座っていた五右衛門が、「間抜け。ノロマ」と辛辣な言葉を挟んだ。
「白夜様、やめようよ。こんな間抜けな人間を娶るのは」
「ケケッ」と鳴いて冷笑する五右衛門に、白夜が眉間に皺を刻む。
「五右衛門、お前は少し黙っていろ。水葵は幽世の神じゃない。人間が、すんなり理解できる話ではない」
五右衛門がかなり毒々しいせいか、白夜がほんのちょっぴり優しいいい人のような錯覚に襲われる。
そんな心の動きまで読まれたのか、白夜は「ほんのちょっぴりとは心外だな」と不機嫌に言い捨て、鷹揚に腕組みをした。
「簡単に言うと、お前は俺の神力を得た魂だけで、現世に留まっていたということだ。あまりに長いこと浮遊し続けたため、輪廻転生の道からも外れている。命がない以上、死ぬも生きるもない」
「魂だけ? 浮遊って……」
衝撃が大きすぎて、私の理解の範疇を大きく超えた。
絶句して瞬きも忘れる私を、白夜は赤い瞳でじっとりと睨めつけ……。
「俺は、自分がしでかした行いの、後始末をせねばならない」
そう言いながら、足を解く。
音もなく立ち上がると、一歩一歩踏みしめるような歩調で、私の方に回り込んできた。
「現世に、死んだ人間の魂を彷徨わせてはいけない。冥府に送り届ける。それが俺の役目だ」
「白夜様、やめようよ。こんな間抜けな人間を娶るのは」
「ケケッ」と鳴いて冷笑する五右衛門に、白夜が眉間に皺を刻む。
「五右衛門、お前は少し黙っていろ。水葵は幽世の神じゃない。人間が、すんなり理解できる話ではない」
五右衛門がかなり毒々しいせいか、白夜がほんのちょっぴり優しいいい人のような錯覚に襲われる。
そんな心の動きまで読まれたのか、白夜は「ほんのちょっぴりとは心外だな」と不機嫌に言い捨て、鷹揚に腕組みをした。
「簡単に言うと、お前は俺の神力を得た魂だけで、現世に留まっていたということだ。あまりに長いこと浮遊し続けたため、輪廻転生の道からも外れている。命がない以上、死ぬも生きるもない」
「魂だけ? 浮遊って……」
衝撃が大きすぎて、私の理解の範疇を大きく超えた。
絶句して瞬きも忘れる私を、白夜は赤い瞳でじっとりと睨めつけ……。
「俺は、自分がしでかした行いの、後始末をせねばならない」
そう言いながら、足を解く。
音もなく立ち上がると、一歩一歩踏みしめるような歩調で、私の方に回り込んできた。
「現世に、死んだ人間の魂を彷徨わせてはいけない。冥府に送り届ける。それが俺の役目だ」