「……は」

「訂正して補足すると、お前の思考回路を見透かす、だ。俺が自分の意思で遮断しない限り、考えのみならず、あらゆるものが透けて見える」

「…………」


私は頭の中を真っ白にすることで、自衛策を取ろうとしたものの。


「あ、あらゆるもの!?」


両腕で自分の胸をぎゅうっと抱きしめ、彼から大きく飛び退いた。
私がなにを考えたかは、見透かすまでもなく行動で伝わったのだろう。
白夜は「ああ」と軽い相槌を打ち、心外とばかりに眉をひそめる。


「お前の貧相な身体など、興味もない」

「ひっ、貧相って、どうして知ってるのっ」

「見りゃわかる」

「だから、見たってことでしょっ!?」


半泣きになって、真っ赤な顔で抗議する私を、虫のようにシッシッと払う。
そして、不快げに顔をしかめ……。


「水葵。現世で、お前の捜索で山狩りなんて事態を招きたくなければ、いちいち話の腰を折るな」

「え?」

「現世では、ここの三倍の速さで時間が流れている。自分の不在を大事にしたくないなら、ここに滞在できるのはせいぜい二十分と考えろ」


赤い瞳を光らせ、ギロリと鋭く睨まれて、私は言葉に詰まった。
頭はカッカしたままだけど、俯いて堪える。