薦めてきた本人に書かれていることが何よりも衝撃的だった。
直接文句や悪口を言わず、SNSで書かれていることが、現代社会だなと思い、同時に怖いと思った。
瑠那は自分のアカウントが彩に監視されていることに気が付いていた。ある日、
『SNSでばっかり言っていないで、文句があるなら直接言えば?』と書き込んでおいた。やはり彩の逆鱗に触れたらしく、書き込みはエスカレートしていった。
その、ほぼ一方的に書かれることは暫く続いた。
2月になり、外が白化粧を始めた頃、彩が部活を辞めると言い出した。理由は
「勉強に専念したいから」と、顧問の先生や周りの人には伝えていた。瑠那だけがもう1つの理由を知っていた。
元々、まじめな性格の彩と、サバサバとした性格の瑠那とでは、相性が悪かったのだけど。
3年生に上がると、顧問が変わった。新任教師の東吾(あずま)駿(かける)先生。新任教師と言うだけあって、高校生の瑠那たちとも年齢が然程離れてはいない。学校中で、人気のある先生だった。よく、女子に口説かれているのを目にすることがあった。
毎年4月にはバンドの校外コンサートがあった。それに向けて、練習をしていた。彩が退部したので人数は減ってしまったが、元々ツインギターなので、賄うことはできていた。
コンサートのリハーサルの日、瑠那は体調が良くなかった。気が付いた東吾先生は声をかけてくれた。部員は誰も気が付かなかったのに、先生だけが気が付いてくれたことが嬉しかった。
コンサート当日、楽屋で衣装を着替え、準備をする。
「次、出番ですよ」とスタッフが教えに来てくれた。ステージに上がり、演奏を開始する。
コンサートは無事に終了した。楽屋で軽く反省会を行った。東吾先生は体調が悪そうだった。
「移した?」と笑いながら聞かれた。
瑠那は胃痛が酷かっただけなので、風邪ではないので移ることはないのだが、
「もしそうだったらすみません」と笑った。
帰り道、瑠那と東吾先生は家が同じ方向なので、同じ電車だった。あえて同じ車両には乗らなかったのだけど。
ホームでふらついた先生を見て、熱が高そうだなと瑠那は思った。声をかけるか悩んだが、声をかけたところで何もできないし、
「大丈夫です」と言われるのが目に見えていたので、瑠那は自分の降りる駅まで、そっと見守ることにした。
直接文句や悪口を言わず、SNSで書かれていることが、現代社会だなと思い、同時に怖いと思った。
瑠那は自分のアカウントが彩に監視されていることに気が付いていた。ある日、
『SNSでばっかり言っていないで、文句があるなら直接言えば?』と書き込んでおいた。やはり彩の逆鱗に触れたらしく、書き込みはエスカレートしていった。
その、ほぼ一方的に書かれることは暫く続いた。
2月になり、外が白化粧を始めた頃、彩が部活を辞めると言い出した。理由は
「勉強に専念したいから」と、顧問の先生や周りの人には伝えていた。瑠那だけがもう1つの理由を知っていた。
元々、まじめな性格の彩と、サバサバとした性格の瑠那とでは、相性が悪かったのだけど。
3年生に上がると、顧問が変わった。新任教師の東吾(あずま)駿(かける)先生。新任教師と言うだけあって、高校生の瑠那たちとも年齢が然程離れてはいない。学校中で、人気のある先生だった。よく、女子に口説かれているのを目にすることがあった。
毎年4月にはバンドの校外コンサートがあった。それに向けて、練習をしていた。彩が退部したので人数は減ってしまったが、元々ツインギターなので、賄うことはできていた。
コンサートのリハーサルの日、瑠那は体調が良くなかった。気が付いた東吾先生は声をかけてくれた。部員は誰も気が付かなかったのに、先生だけが気が付いてくれたことが嬉しかった。
コンサート当日、楽屋で衣装を着替え、準備をする。
「次、出番ですよ」とスタッフが教えに来てくれた。ステージに上がり、演奏を開始する。
コンサートは無事に終了した。楽屋で軽く反省会を行った。東吾先生は体調が悪そうだった。
「移した?」と笑いながら聞かれた。
瑠那は胃痛が酷かっただけなので、風邪ではないので移ることはないのだが、
「もしそうだったらすみません」と笑った。
帰り道、瑠那と東吾先生は家が同じ方向なので、同じ電車だった。あえて同じ車両には乗らなかったのだけど。
ホームでふらついた先生を見て、熱が高そうだなと瑠那は思った。声をかけるか悩んだが、声をかけたところで何もできないし、
「大丈夫です」と言われるのが目に見えていたので、瑠那は自分の降りる駅まで、そっと見守ることにした。