もうすぐ、文化祭。瑠那たちは、より一層練習に励んでいた。毎日、顧問の先生にお願いをして、練習時間を延長してもらっていた。
毎日、暗くなって、学校内に人気がなくなるくらいまで練習をした。日々の練習の成果が出て、文化祭では大盛り上がり。大成功をした。
赤色や黄色に色を変えていた木々の葉たちは、濁った色となり、地面へひらひらと舞い降りていく。冬の準備が進んでいるようだ。
文化祭が終わって気が緩んだ部内。
授業が終わり、部室に行くと、暑さは和らぎ、むしろカーディガンが欲しくなるような季節になったにも関わらず、普段はムードメーカーの梅林が溶けていた。理由は聞いても教えてくれなかった。みんなが不思議に思っていた。練習はしたいが、文化祭が終わってすぐのこの時期は、然程(さほど)支障はなかったので、あまり深く触れないことにした。各々、自分の担当の楽器を弾いていた。
寒がりの瑠那にとってはカーディガンが必須アイテムとなった頃、彩から提案があった。
「梅林と付き合ったらいいのに」と。
瑠那は断った。最初のうちは、興味がなかったから。それと、瑠那は知っていたから。
彩が梅林のことを好きだということを。だからその後も、彩に提案される度に断り続けた。何度断ったのか忘れたくらいの頃、彩が口にした。
「梅林が好きなのは瑠那なんだよ。だから私は何度告白をしても振られるの」
瑠那は何も言えなかった。彩は続けた。
「だから付き合いなよ。私はもういいの。瑠那の方がお似合いなんだから」
「そう……なんだ……」それしか声にならなかった。
何度も、梅林と付き合えばいいと言われていたので、瑠那は自分の本心が分からなくなっていた。相手が自分のことを好きと知っている上で告白をするなんて、ずるいと思った。
数日考え、梅林にメッセージを送り、結局は付き合うことになったのだった。
その当時、知っていたのは彩だけだった。
「おめでとう」と彩は口にしていた。
その頃から、SNS上で悪口を書かれるようになった。相互フォローをしていない知らないアカウントで悪口を書かれる毎日。名前は勿論適当なものだったので、誰だかは分からない。でもその書いている主が彩だと、瑠那は分かっていた。書かれている内容に瑠那の名前は出されていないものの、瑠那に対する悪口と嫉妬を並べた言葉だった。
毎日、暗くなって、学校内に人気がなくなるくらいまで練習をした。日々の練習の成果が出て、文化祭では大盛り上がり。大成功をした。
赤色や黄色に色を変えていた木々の葉たちは、濁った色となり、地面へひらひらと舞い降りていく。冬の準備が進んでいるようだ。
文化祭が終わって気が緩んだ部内。
授業が終わり、部室に行くと、暑さは和らぎ、むしろカーディガンが欲しくなるような季節になったにも関わらず、普段はムードメーカーの梅林が溶けていた。理由は聞いても教えてくれなかった。みんなが不思議に思っていた。練習はしたいが、文化祭が終わってすぐのこの時期は、然程(さほど)支障はなかったので、あまり深く触れないことにした。各々、自分の担当の楽器を弾いていた。
寒がりの瑠那にとってはカーディガンが必須アイテムとなった頃、彩から提案があった。
「梅林と付き合ったらいいのに」と。
瑠那は断った。最初のうちは、興味がなかったから。それと、瑠那は知っていたから。
彩が梅林のことを好きだということを。だからその後も、彩に提案される度に断り続けた。何度断ったのか忘れたくらいの頃、彩が口にした。
「梅林が好きなのは瑠那なんだよ。だから私は何度告白をしても振られるの」
瑠那は何も言えなかった。彩は続けた。
「だから付き合いなよ。私はもういいの。瑠那の方がお似合いなんだから」
「そう……なんだ……」それしか声にならなかった。
何度も、梅林と付き合えばいいと言われていたので、瑠那は自分の本心が分からなくなっていた。相手が自分のことを好きと知っている上で告白をするなんて、ずるいと思った。
数日考え、梅林にメッセージを送り、結局は付き合うことになったのだった。
その当時、知っていたのは彩だけだった。
「おめでとう」と彩は口にしていた。
その頃から、SNS上で悪口を書かれるようになった。相互フォローをしていない知らないアカウントで悪口を書かれる毎日。名前は勿論適当なものだったので、誰だかは分からない。でもその書いている主が彩だと、瑠那は分かっていた。書かれている内容に瑠那の名前は出されていないものの、瑠那に対する悪口と嫉妬を並べた言葉だった。