少なくとも、彼女が“いつでもOK”なのは間違い無い。

 それに関しちゃ僕も同じなのだが、理夏が好きだからこそ、彼女との結婚に対して真剣に向き合っていた。

 幸せな結婚生活に必要なものは、現実と愛情の調和であると考えた僕は、自分の中であるハードルを設定した。
 それは、僕がリーダーとして開発に携わっている新種の花〈ロンガヴィタ〉の完成。

 ある画期的な特徴を持つ花、正直かなりの強敵なのだが、開花予想CGを理夏に見せたとき「めちゃくちゃ綺麗! 完成したらうちの店に置かせてね!」と大はしゃぎする姿が今も瞼に焼き付いている。
 その高いハードルを越えたとき、僕は理夏にプロポーズする。

 本当に自分勝手で何の根拠も無いものだけど、それを成し遂げた時、僕は心から本気で「理夏を幸せにするよ」と言えるような気がしていた……。