自分で言うのも何だが、ブサイクじゃ無いにしても、決して格好いいなんて言われるようなルックスでは無い。
 生涯でそんなセリフを言われたためしがないし、間違い無く冷やかしにきてるなこれは……と、さらに苛立ちが強まった。
 仕事上のストレスも相まって、さらに汚い言葉が口を突いて出そうになったその時。

「私、好きだったんだよね順平君のこと! あっ、思わず言っちゃった、てへっ」

 理夏は顔を真っ赤にしながら笑った。
 周りの連中が「ヒューヒュー!」などと冷やかし始め、結婚行進曲をハミングしだす奴も出てきた。

「な、な、なに言っちゃってんの急に? バカじゃねーの!?」

 僕は悪態をつきながらも、心臓はバックバク。
 久し振りに会った理夏はとびきりの美人に……なんてドラマみたいなご都合主義とはいかないものの、その笑顔はとてもチャーミングで、くすんでいた僕の目にはとても眩しく、そして魅力的に映った。

 とにもかくにも、それをきっかけに皆が皆、現実世界から高校時代に戻った。
 あの蒸し暑い教室にタイムスリップしたかのように、恋バナだの下ネタだの、ワイワイガヤガヤし始める。
 何となく気持ちも落ち着いてきて、僕と理夏はお互いの近況について語り合った。