ブルブルブルッ。

 突然、右手首のブレスレットが激しく震えた。

「ま、まさか……!?」

 この振動は、理夏が境界線の中に入ったという証。
 僕はいま、静かなリビングのソファに1人じっと座りっている……と言うことは、理夏がここに近づいて来てるのか!?

 ブルブルブルッ。

 振動が収まらない。
 とにかく急いでこの家から出よう……い、いや、そうすることで逆にもっと理夏に近づいたらどうする!?
 もしかしたら、たまたま境界線の中を間違って通り過ぎただけかも──。

 ブルブルブルッ!
 ブルブルブルッ!

 ブレスレットの震えがどんどん激しくなっていき──。

 ガチャッ。

 玄関の扉が開いた。