「付き合いたいっていうか、とにかくカッコイイよね。学年1は間違いなしだし」


断言する心に「もしかして1年生の男子全員把握してるの?」と聞くと、頷かれてしまった。


心の彼氏を作る熱意は本物のようだ。


「だからさ、そんな男子とお近づきにはなりたいじゃない?」


「でも、友達はいらないらしいよ?」


「その氷ついた心を私がとかしたいの!」


心は熱心になりすぎて少し鼻息が荒くなっている。


無理だと思うけどなぁ。


転校初日であんな自己紹介をするのは、学生生活の自殺行為に等しい。


今はまだ見た目だけであれだけ女子たちが騒いでいるけれど、いつその立場が底辺に突き落とされてもおかしくはない。


特に男子たちはおもしろくないはずだ。


協調性がないくせに女子にはモテる転校生なんて、イジメのターゲットにしやすいと思う。


「こっちが話かけても全然返事してくれないよ」


「ね、ずっと本を読んでたよねぇ」


休憩時間が終わる頃には女子たちからそんな不満の声が聞こえて来ていたのだった。