心はすごく穏やかで、手を伸ばせば大好きな秋がいて、窓の外には満開の桜がある。


「秋……」


名前を呼ぶと秋が私の手を握りしめた。


心を読むことができる秋は、私の手を握りしめて微笑んだ。


きっと、穏やかな気持が流れ込んで行ったのだろう。


秋にこういう表情をさせることができて、嬉しかった。


「どうしたイト?」


「私……きっと秋に一目惚れだった」


転校してきたあの日、秋のかっこよさに誰もが黄色い悲鳴を上げた。


私は平凡な日常を望んでいたから反応しなかったけれど、本当は他の子たちと同じ気持ちだった。


「そっか。俺も、そうなのかも」


「嘘」


それはないと思って笑うと、秋も笑った。


このままずっと、こうしていたい。


秋に私の楽しいという気持ちを共有して、ずっと笑い合っていたい。