驚いて振り返ると、平塚くんが痛みを堪えるような顔をして私の手を掴んでいる。


きっと今彼には私の心が流れ込んでいるはずだ。


恐怖、絶望、戦慄、死へのカウントダウン。


マイナスな感情がどんどん彼にバレていく。


私は勢いよく手を振り払おうとした。


でも無理だった。


平塚くんの手が痛いくらいに私を掴んで離さない。


「知りたいんだ」


苦しげな声が聞こえてきた。


「え?」


「大滝さんの心を知りたいんだ」


今度はしっかりと聞こえてきた。


彼はもう苦しそうな顔はしていなかった。


「辛いこと苦しいこと嬉しいこと楽しいこと、全部共有したいと思った。だから一緒にお昼を食べるようになったんだ。君に、近づきたくて」