前髪が雨に濡れて額に張り付き、ポタポタとしずくが落ちている。
「イト」
母親がホッとしたように顔を向けた。
そして「先に病室に行ってるわね」と、中へ入っていく。
それでも彼は棒立ちになっていた。
「そんなところでなにしてんの」
思わず強い口調で言った。
自分の顔が硬直しているのがわかる。
「あ、いや……」
平塚くんは視線を泳がせて口ごもる。
「入れば」
「あぁ……」
おずおずと病院の中へ入ってきたが、このままじゃ病室に案内はできない。
床がびしょびしょに濡れてしまう。
「タオルを持ってくるから」
そう言って一度病室へ戻ろうとしたときだった。
不意に腕を掴まれていた。
「イト」
母親がホッとしたように顔を向けた。
そして「先に病室に行ってるわね」と、中へ入っていく。
それでも彼は棒立ちになっていた。
「そんなところでなにしてんの」
思わず強い口調で言った。
自分の顔が硬直しているのがわかる。
「あ、いや……」
平塚くんは視線を泳がせて口ごもる。
「入れば」
「あぁ……」
おずおずと病院の中へ入ってきたが、このままじゃ病室に案内はできない。
床がびしょびしょに濡れてしまう。
「タオルを持ってくるから」
そう言って一度病室へ戻ろうとしたときだった。
不意に腕を掴まれていた。