☆☆☆

朝、目が冷めたときから窓の外は雨だった。


ザァザァとうるさいくらいの音が病室内に響いていて、電気をつけているのにどこか薄暗く感じられる。


雨の日は気分が落ち込んでくるから苦手だった。


梅雨なんて、すぐに開けてくれればいいのに。


そう思いながら文庫本を手に取るが、なかなか活字に集中することができない。


「ふぅ」


大きく息を吐き出して文庫本を閉じると、ベッドから立ち上がって窓へと近づいた。


薄いカーテンを開けると灰色の世界が目に入る。


雨は相変わらず勢いを保ったまま振り続けている。


学校はそろそろ終わったかな。


心は今日はなにをしてただろう？


外を眺めているとついそんなことを考えてしまう。


浮かんでくるのはクラスメートの顔ばかりだ。


そして平塚くんの顔。


「平塚くんのことなんて思い出したくもない！」