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4月の入学式前日のことだった。


私はこの病院に来ていた。


中学に入学したころから体調を崩しがちになり入退院を繰り返してきたのだけれど、高校入学を控えて念の為の検査をすることになった。


病状は悪化したり落ち着いたりの一進一退を繰り返しながら、確実に私の命を削っていた。


そしてそれは私自身がよくわかっていたことで、今回の検査で両親を泣かせてしまうかもしれないということも、薄々感づいていた。


朝病院に来た私は、すべての検査が終わった時にはすでに夕方近くになっていた。


担当医は難しい表情でカルテを見つめている。


私と母親は緊張しながら担当医の言葉を待つしかできなかった。


「高校には行きたいんだよね?」


最初にそう質問されて私は大きく頷いた。


親友である心と同じ高校に入学が決まっているし、準備も進んでいる。


行きたいに決まっていた。


「それなら絶対に無理をしないこと。薬の量を増やすけれど、それもちゃんと毎日飲むこと」


先生の言葉に私は内心ホッとしていた。


それさえ守っていれば学校に通うことができるのだ。