「俺、このクラスで友達を作るつもりはないから」


どんな自己紹介をしてくれるんだろう。


趣味はなに?


好きな食べ物は?


そんな女子たちの好奇心を一蹴してしまうような、冷たい一言だった。


一瞬教室内が氷つく。


平塚くんの言い方は冗談ではなく、本気だとすぐにわかった。


みんなをはねつけるような鋭い視線を向けてくる。


キレイな顔をしているから、それが余計に恐ろしく感じられて私は軽く身震いをした。


「じょ、冗談だよな、冗談」


先生は横で慌ててフォローをしているが、平塚くんはニコリともしない。


そして視線を先生へ向けると「俺の席は?」と、短く質問した。


自己紹介は今ので終わってしまったようだ。


先生が慌てて一番後ろの窓際の席を指摘すると、平塚くんは無言で席へと移動してしまった。