図星だ。


あの時すでに気が付いていたんだ。


私がずっと隠してきたことを。


「……帰って」


自分でも信じられないくらいに冷たい声が出た。


平塚くんがビクリと体を震わせる。


「帰ってよ! 二度と来ないで! 顔も見たくない!!」


叫びながら枕を投げつけた。


平塚くんはとっさにそれを受け止めて呆然とした表情をこちらへ向ける。


「帰ってよ……」


私は両手で顔を覆って嗚咽した。


仲良くなれたと思った。


平凡な毎日を切望しながらも、自分のしたいことをして、平塚くんを助けることができたと思っていた。


そのどれもが自分のひとりよがりだったんなんて……!


「うっ……」


手の隙間から吐息が漏れる。


涙が止まらなくて目の奥がジンジンと熱を持ってくる。


「……また来るから」


平塚くんの小さな声が聞こえてきて、病室を出ていく音が聞こえてきた。


足音が遠ざかっていくのを聞きながら、私は大声を上げて泣いたのだった。