ポロリと頬に涙が落ちた。


考えるよりも先に涙腺が動いてしまったみたいだ。


「じゃあ、私と仲良くしたのって……」


「違う! そうじゃない!!」


平塚くんが真っ青になって否定する。


だけど、今までの彼の言葉を思い出すとそうであることが理解できる。


今からでも友達になれるのに、まるでもう遅いもののように言ったこと。


番号交換をしたときになにかあれば連絡するように言われたこと。


すべて、彼は知っていたからあんな言い方をしたんだ。


「私の余命があと1年だってわかってたから、近づくことができたんだ!」


気がつけば泣きながら叫んでいた。


平塚くんは人の心を読むことができる。


だから友達は作らない。


だけど私はあと1年の命だから。


あと1年でいなくなってしまうから、だから近づくことができた。


「違う!」


「消しゴムを拾ったときに私の余命に気が付いたんでしょ!?」


その言葉に平塚くんは下唇を噛み締めて黙り込んだ。