「友達を作れば嫌でも触れ合うことになる。心の距離が縮まれば触れることがなくても気持ちが流れ込んできてしまう。だから、友達を作ることができなくなった」


もしもそれが本当なら。


ううん、こんなに苦しんでいるから本当なんだろう。


それなら、私が消しゴムを拾ったあの時、平塚くんは私の心を読んだということ?


「それって……どこまで読めるの?」


自分の声が震えた。


今まで平塚くんと仲良くなれたと感じていたのに、そのすべてがガラガラと崩れ落ちてしまうような感覚があった。


全身の血がすーっと凍てついていく。


「ほとんど、全部が」


平塚くんの声はかすれている。


私の心を読むことができた。


それがなにを意味しているのか、私にもわかってしまった。


そして彼はそれをわかっている。