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心が言っていた通りその日に転校生はやってきた。


先生に呼ばれて教室に入ってきた男子は、正直見たこともないくらいの美青年だった。


彼が教室に入ってきた瞬間女子たちが黄色い悲鳴を上げていたし、男子たちも少したじろいだ様子を見せていた。


私ももちろん、カッコイイなぁとは感じた。


整った輪郭にスッと通った鼻筋。


それにサラサラの髪の毛はまるで王子様みたいだ。


ひと目みて心臓がドクンッとはねたことだって認める。


でも……。


「じゃあ、簡単に自己紹介をして」


中年男性である担任からそう言われて、転校生は黒板に自分の名前を書いた。


平塚秋(ヒラツカ シュウ)。


それが彼の名前だった。


平塚くんは自分の名前を書き終えるとこちらへ向き直り、無表情な顔でクラスメートたちを見回した。