「ごめん、つい」


ようやく笑いを引っ込めて平塚くんは真面目な顔に戻った。


「別にいいけど、私のことがそんなにおかしかった?」


いくらカッコイからって人が真面目に話をしているときに笑うのは失礼だ。


すると今度は平塚くんの方がキョトンとした表情になって私を見た。


「そうじゃないよ。違うんだ」


ぶんぶんと左右に首をふる。


「ただ、ここまで濁りのない人って久しぶりだったから」


その言葉に私は首をかしげた。


濁りってどういう意味だろう?


「ごめん、よくわからないよね」


平塚くんはぽりぽりと頭をかく。


転校初日はあんなあに無愛想だったのに、今日はやけに表情がよく変わる。


「ただ、君となら友達になれたかもしれないなって、思ったんだ」


「え?」


聞き返すよりも先に平塚くんは私に背を向けていた。