この生活がいつまでもいつまでも続きますようにと、願っていた。


だって、日常はいつ消えてなくなるかわからない。


このなんでもないような1日がどれだけ素晴らしいことなのか、胸に刻んでおきたかった。


「それを壊したのは、私なのかも」


あれだけ大切にしていた日常を自分の手で壊してしまったという実感があった。


あの日、あの時、平塚くんに手を貸した瞬間から。


でも、後悔はしていない。


見えない糸が徐々に自分を絡め取ろうとしていたとしても、私は自分のやりたいことを選んだ。


それは日常とは違うものだったけれど、やらなければ後悔していたことだった。


頭では理解しているけれど、なかなか心がついていかない。


今日1人でお弁当を食べることになったけれど、明日も明後日もそれが続いていくのかも知れない。


そしてそんな色のない世界が日常になってしまうのかも……。


砂のようなご飯を口に運んでいたとき、不意に「ごめん」と声をかけられて顔を上げた。


そこには平塚くんが立っている。