高校生になったら恋人がほしいよねぇ。


と、ずっと言い続けている心はその転校生に大きな期待を寄せているようだ。


入学初日に『このクラスは外れ』と肩を落としていたことを思い出した。


「そうなんだ」


転校生の存在は気になるものの、私は心ほど熱中できなかった。


別に恋人がほしいわけでもないし、日々同じように平凡に暮らしていくことができればそれが1番だと思っている。


最も、心や同年代の子たちにそんな話をすると『ババくさい』と言われてしまうんだけれど。


「カッコイイ子かなぁ?」


心は空中に視線を投げ出して呟く。


すでに想像する転校生がいるようで、その子との恋愛を妄想しているようだ。


「そろそろホームルームのチャイムが鳴るよ」


時計を見てそう指摘すると、心は満面の笑みを浮かべながら自分の席へと戻っていったのだった。