「つきまとってはいるみたいだけど、付き合ってはないみたいだよ」


「そうなんだ」


ということは日曜日に目撃したのは彼女が一方的に平塚くんの買い物についてきた状態だったのかもしれない。


そう言われれば話しをしていたのは女の子の方だけで、平塚くんは相手もしていなかった。


そう思うとホッとしている自分がいた。


「それでもクラスメートたちは大島くんに同情しちゃってさ……」


そこで心は言葉を切ってため息を吐き出す。


途端に胸がざわつき始めた。


確かに心の話を聞けば平塚くんのせいで大島くんが振られたとも言えるなくはない。


けれど平塚くんだって彼女に好かれて困っているはずだ。


家までついてこられて、買い物にまで一緒に来られて、自分が同じようなことをされたら警察に通報していたと思う。


それなのに……。


途端に居ても立っても居られなくなり、大股で平塚くんに近づいた。


彼の机にはマジックで大きく『ヤリチン』とラクガキがされている。


こんな幼稚なラクガキをしたクラスメートに腹が立った。


それを見てクスクス笑っているクラスメートたちにも。