「フラれた?」


「うん。その原因が秋くんにあるってみんな言ってる」


そう言われて私は視線を平塚くんへ向けた。


平塚くんは自分の机に座ってジッと天板を見つめている。


「もしかして、大島くんの彼女を平塚くんが取ったの?」


日曜日にデパートで見た光景を思い出して聞いた。


心は目を見開いて「なんで知ってるの?」と、聞いていた。


あの光景を見たばかりだし、なんとなくそんな気がしていたのだ。


「でも実際は違うみたい」


「どういうこと?」


更に尋ねる。


「彼女がこの前、校門のところで大島くんが出てくるのを待ってたんだって。その時偶然秋くんを目撃して、一目惚れしちゃったらしいよ。それで一方的に大島くんをふったってわけ」


「へぇ!」


すごい行動力に思わず感心してしまいそうになる。


「しかも彼女、秋くんの後を付けて家まで突き止めちゃったんだってさ。すごい執念だよね」


「平塚くんとその子、付き合ってるわけじゃないの?」


その質問に心は左右に首を振った。