なんだ、彼女いたんじゃん。


転校生だし、カッコイイけど変人だし、てっきり彼女なんていないと思っていた。


だけど、彼女がいるのなら今までの冷たい態度も納得できた。


女子たちにどれだけ好意を寄せられてもそれに答えることはできない。


だから平塚くんは自分からクラスメートたちを遠ざけたのだ。


あの自己紹介はちょっとやりすぎだと思うけれど、平塚くんくらいのイケメンなら、あれくらいしないと女子が諦めないのかもしれないし。


夜になり、ベッドの中で何度も寝返りをうちながらそんなことばかりを考える。


「なぁんだ」


ぽつりと呟き、暗闇の中で笑ってみる。


今日もいつもどおりの日常だった。


自分の一番望んでいる1日だった。


それなのに……どうして涙が出てくるんだろう。