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午後からの授業はあまり身に入らなかった。


初めてみた平塚くんの笑顔が何度もチラついて、つい後方へ視線を向けてしまいそうになる。


でも授業中にそんなことはできないので必死で我慢した。


休憩時間になると自然を装って後方を確認してみたりもしたけれど、平塚くんはいつも1人でぼーっと窓の外を眺めていた。


さっそく孤立してしまった平塚くんに少しだけ胸が痛む。


だけど友達はいらないと宣言したのは本人だ。


本人が本当に友達がいらないと思っているのであれば、私がなにかすることなんてできない。


番号やメッセージを交換することもできない。


そんなの気にすることでもないのに、なぜか胸が傷んだ。


「イト、今日遊びに行かない?」


帰り支度をしているところに心がやってきた。