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すっかり夏服姿になった6月中旬。


今日は朝からジメジメとした陰湿な雰囲気が教室に漂っていて、外ではサラサラと音を立てて雨が振っていた。


「ねぇ、ねぇイト」


自分の席について朝のホームルームを待っていたとき、友人の古野心が声をかけてきた。


「なに?」


読んでいた文庫本から顔を上げて首をかしげて聞く。


イトは私の前の席の椅子を勝手に拝借して座った。


前の席の男子は昨日から季節外れのインフルエンザにかかっていて、1週間は休む予定になっている。


「今日このクラスに転校生が来るって知ってる?」


「え? 転校生?」


なにもしらなかった私は1年A組の教室内を見回した。


今は休憩時間だから、みんな思い思いに友人をおしゃべりしたり、本を読んだりしている。


「しかも男の子だって!」


心が目を輝かせて声を上げる。