☆☆☆

なにあれ。


なにあの態度。


いくら友達を作らないって言っても、人の手を叩く必要ってあった?


「大丈夫?」


ムカムカした気分で心と並んでお弁当を食べている。


場所は広く取られた渡り廊下で、そこには自販機とベンチが置かれていた。


「ほんっとムカツク!」


そう言って力任せに箸でウインナーを突き刺して口に運ぶ。


乱暴に粗食して飲み下すと少しだけ気分が落ち着く気がした。


「親切な女子の手を叩くなんてねぇ」


心は呆れ顔だ。


「本当にそうだよね」


叩かれた手はもう痛くない。


だけど胸の奥にはムカムカが残っている。


その原因は平塚くんのせいだけじゃなくて……彼の指に触れた瞬間、ドキッとしてしまった自分にあることもわかっていた。