ふと思い出してそう言った。


同時に変人と呼ばれるようになった平塚くんの顔を思い出す。


その顔は思い出すだけで心臓がドキンッと跳ねるくらいカッコイイ。


「へぇ、どんな子?」


「男子なんだけどね。まぁまぁカッコイイかな」


その言葉に父親が反応したのがわかった。


興味があるような、少し不安そうな表情をこちらへ向けている。


「でもね、変人なんだよ」


「変人?」


父親に聞かれて大きく頷く。


「自己紹介のときに友達はいらないって宣言したの。それで誰に話しかけられても全然返事をしなかったんだよ」


「まぁ、変わった子ね」


母親は顔をしかめて言う。


協調性がなさすぎる生徒にちょっと心配しているみたいだ。


「でしょ? いくらカッコよくてもちょっとねぇ」


それが私の本心だった。


どうせ、彼と私がこの先仲良くなることはないのだし。


そんな風に考えていたのだった。