1、どうやら彼女は目覚めないようです。



次の日の火曜日、彼女の両親は彼女の部屋に入り、呆然とした。この前から言われていたあの日がついに来てしまったのだ。
両親は酷く悲しみ、何度も泣いた。
何度泣いたか分からないくらい泣いた時、父親が気づいた。机の上にふたつの封筒が置いてあった。1つは『お父さん、お母さんへ』。その中にはびっしりと文字の書かれた手紙が何枚も入っていた。
2人は1枚ずつ丁寧に手紙を読み始めた。手紙の内容はこれまでの感謝や嬉しかったこと、楽しかったことなどが綴られていた。
2人はそれを読み終わると、また泣いた。
その涙は沙奈恵が亡くなったという悲しみと、こんなにも立派に育ったことに対する喜びがあった。
そしてもうひとつの封筒には、さっきよりも少し枚数は少ないが手紙と、明るい色のペンが入っていた。
その手紙の送り先は……。