1、どうやら残り1年のようです。



容姿端麗、才色兼備とは中学2年生の私、花里沙奈恵(はなさとさなえ)のために作られたような言葉だ。この2つの四字熟語は誰もが羨ましがり、欲しがるような言葉だ。
しかし、もう1つ私のために作られたような言葉がある。それは美人薄命だ。
幼い頃から病弱で、学校に行くより入院している時期の方が長いくらいだ。
そして中学2年生の3学期、クラス替えまで1週間を切った時、何度会ったか数え切れない病院の先生に、聞きたくなかったことを告げられた。ゆっくり、丁寧に、私がパニックにならないように、
「残念ながら沙奈恵さんの余命は1年です」
頭の中が真っ白になった。
先生はそのあとも何か言っていたが自分の余命を聞き、それどころではなかった。
同席していた母は泣いていた。どうしてそんなに早いのか、と言っていたがそんなこと私に聞かれても知らない。
私の方が聞きたいくらいだ。

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇‪〇

それから1週間がたち、3学期も終わり春休みが始まった。
どうやら気持ちを落ち着かせるのに少し時間をかけすぎたようだ。いや、実際には3日で私は立ち直ったが両親はなかなか立ち直れなかったようだ。まあそうだろう。自慢の一人娘が自分たちよりも先にいなくなってしまうのだから。だが私はそうは言っていられない。残り11ヶ月と3週間、どう過ごしていこう。