目を覚ますと北山先生が側にいてくれた。

「大丈夫ですか?」

「すみません、また、私、先生にご迷惑を……」

と言いかけたその時、私の手を引き寄せ、北山先生は私を抱きしめた。

「先生?」

「ずっとここにいればいい」

北山先生にそう言われて、しばらく見つめあった、しかし私はすぐに目を逸らした。
これ以上先生に頼ることは出来ない、先生の気持ちに答えられない、自分の気持ちに嘘はつけないから。

私の病状は安定していた。
念のため血液検査を受けるため、私の血液を東京の北山総合病院へ送った。
結果は時間がかかるとのことで、落ち着かない日々を過ごすこととなった。

そんなある日、北山先生を訪ねて来た人がいた。
その人は錑だった。

「久しぶり、健志、元気だったか」

「錑、どうしたんだ」

「先生、この患者さ……」

と言いかけて錑の姿が目に止まった。

「みゆ、具合大丈夫か」

私は咄嗟にその場を離れるために診療所を飛び出した。

「みゆ、待って!」

錑は私の後を追って来た。