「えっ?知らなかったの?退職届が受理されたって貼り紙があったから」

不安は的中したと、俺は動揺を隠しきれなかった。みゆどう言う事だ。

「錑、聞いてる?」

「ああ、みゆはマンションも引っ越してるんだ」

「えっ?マンションも引っ越して、会社も辞めたってこと?」

「何があったんだ、高城に連絡取るからこれで切るぞ」

「わかった、何かわかったら連絡ちょうだいね」

「ああ」

俺は下を向いて頭を抱えた。

「みゆ、何があった、なぜ俺に言ってくれない、俺はそんなに頼りないのか」

すぐに高城に電話を入れた。

「社長、どうされましたか」

「立木の退職届は誰が受理した」

「どうしてそのことをご存知なんでしょうか?」

「俺に通さないで処理するつもりだったのか」

「いえ、会長の指示ですので」

「会長の指示?」

どう言うことか俺は理解に苦しんだ。
俺は出張を切り上げ会社に戻った。