でもまた他の女性を好きになったら、私はふられるんだ。
だから深入りしちゃいけない、傷つきたくない。

錑は目が覚めて、隣に私がいないことに気づく。

「みゆ!みゆ!」

寝室から飛び出し、キッチンにいる私を見つけると、後ろから抱きしめた。

「良かった、また帰ったかと思って焦ったよ」

私の背中越しに声をかける錑。

「おはようございます、一緒に朝ごはん食べようと思って、キッチンお借りしています」

私を振り向かせ、唇を塞ぐ錑。
そのまま私を抱き上げてベッドルームへ運び、身体を重ねる。

「社長、駄目です、もう起きて支度しないと遅刻します」

「錑でいいよ」

「いいえ、昨夜は調子に乗り過ぎました、すみません」

「大丈夫だ、錑って呼べ」

「私達、恋人同士じゃないんですから、これから一線超えないようにしないといけないと思うんです」

私の言葉を遮るように錑は起こった口調で言った

「何それ、どう言う意味?あんなに愛し合ったのに恋人同士じゃない?これから一線越えないように?」

私は下を向いてどう答えればいいか迷っていた。