久しぶりの錑のマンション、ドアを開けて中に入ると、私の使っていた部屋はそのままの状態になっていた。

「絶対に連れ戻すと思って、そのままにしてある」

「錑、ごめんなさい」

「謝るのは俺の方だ、みゆを守ってやれなくて」

「いいえ、勝手な事をしたのは私です、会社辞めて、錑の元を去って……」

「でも、また俺の元に戻って来てくれた、もう絶対に離さないから覚悟しろ」

私は頷いた。

私は錑の側にいることに、不安は拭いきれなかった、龍司の時みたいに反対されて、別れがやってくるのではないかと……

「錑、私が錑の側にいることは迷惑にならないですか?」

「迷惑だなんて、全然大丈夫だ」

「錑が結婚する時、私、出て行きますからちゃんと言ってくださいね」

「俺の結婚相手はみゆだよ」

私は固まった、そして次の瞬間、過去の記憶が脳裏を掠めた。

「私じゃ反対されます」

「誰に?」

「会社の役員の方々に」

「関係ねえよ、俺の結婚だぜ」