私は安堵の表情を慎太郎さんに向けた。

「いいかい、ここが彼の正念場だ、この危機を乗り越えられなければみゆを安心して託す事は出来ない」

私は慎太郎さんの話を聞いていた。

「彼は会社を立て直してみゆを迎えに来るだろう、だから待っているんだ、それが出来ないようならそこまでの男と言う事になる」

「わかりました、慎太郎さん、ありがとうございます」

慎太郎さんは与那国島を後にした。

錑は桂木ホテルリゾートを立て直す為、取引先を回った。

東城氏に紹介してもらったメインバンクに挨拶に行き、契約を交わした。


俺はしばらく忙しくしていた。

みゆのことが気にならないわけではない。

みゆに取って俺といるより、健志と与那国島にいる方が体調にもいいんじゃないかと思いはじめた。

しかし、みゆの笑顔、みゆの涙、全てが脳裏から離れない。

今すぐにでもみゆを抱きしめたいと気持ちは昂っていた。

あれから三ヶ月の月日が流れた。

桂木ホテルリゾートは利益をあげられるまでに持ち直した。

俺はアメリカへ向かった。