「そういえば、これが手紙の中に入っていたんですけど」
茂さんは白くて鳥のような小さな花びらを丁寧に受け取り、しばらくじいっと見つめる。
「これは鷺草だね。確か花言葉は……うん、なるほど」
「どうしたんですか?」
「鷺草の花言葉は『清純』『繊細』『夢でもあなたを想う』なんだ。いやあ、まやくんらしい伝え方だなあ」
気になってすぐにスマホで花言葉を調べてみる。
花言葉の由来には、悲しい伝説があった。
でも、その話の背景には、相手を思いやる純粋な気持ちも含まれていた。
まやくんも私と同じ気持ちだったのかもしれない。
そう思うと、また涙が止まらなくなった。
※
次の日、私はもう一度あの神社に行ってみることにした。
茂さんが「着いて行こうか」と言ってくれたけど、どうしても一人で言ってみたくなったから、申し訳ないと思いながら、お断りした。
蝉の鳴き声に圧倒されながらも、境内へと続く階段を一段一段と登っていく。
後遺症はすぐに解消されるわけではなく、やっぱり慰霊碑の方を見ると、私の身体があの出来事を受け入れるのを拒否しているようで、再び胃の底の方がむかむかしてきた。
でも、ここで逃げちゃいけないと思った。
ここは忘れちゃいけない大切な場所だから。
大丈夫。
目を瞑って大きく深呼吸をし、ゆっくり目を開ける。
私は慰霊碑に花を添え、静かに手を合わせた。
茂さんは白くて鳥のような小さな花びらを丁寧に受け取り、しばらくじいっと見つめる。
「これは鷺草だね。確か花言葉は……うん、なるほど」
「どうしたんですか?」
「鷺草の花言葉は『清純』『繊細』『夢でもあなたを想う』なんだ。いやあ、まやくんらしい伝え方だなあ」
気になってすぐにスマホで花言葉を調べてみる。
花言葉の由来には、悲しい伝説があった。
でも、その話の背景には、相手を思いやる純粋な気持ちも含まれていた。
まやくんも私と同じ気持ちだったのかもしれない。
そう思うと、また涙が止まらなくなった。
※
次の日、私はもう一度あの神社に行ってみることにした。
茂さんが「着いて行こうか」と言ってくれたけど、どうしても一人で言ってみたくなったから、申し訳ないと思いながら、お断りした。
蝉の鳴き声に圧倒されながらも、境内へと続く階段を一段一段と登っていく。
後遺症はすぐに解消されるわけではなく、やっぱり慰霊碑の方を見ると、私の身体があの出来事を受け入れるのを拒否しているようで、再び胃の底の方がむかむかしてきた。
でも、ここで逃げちゃいけないと思った。
ここは忘れちゃいけない大切な場所だから。
大丈夫。
目を瞑って大きく深呼吸をし、ゆっくり目を開ける。
私は慰霊碑に花を添え、静かに手を合わせた。