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人は死ぬ直前に未練があると、幽霊となってこの世を彷徨う、なんて話をどこかで聞いたことがある。どうやらそれは半分正解で、半分は間違いのようだ。
生き返っているわけでもなく、幽霊のように他の人から見えないわけでもない。自分の胸に手を当てると心臓の鼓動が伝わってくるし、身体をぶつけるとしっかり痛し、腫れてくる。
不思議なことに、死んだ時は随分小さい頃だったような気がするけれど、今の僕はある程度成長している。成長してるという実感すらあるのも不思議な話だけど。
僕の身に、何が起こってしまったのか。
僕の人生は、あの時すでに終わっていたはずなのに。
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両親に見捨てられるようにおばあちゃん家に連れてこられた僕は、そのショックで、感情が無くなっていた。
僕が生まれてきたせいで、お父さんとお母さんの仲が悪くなった。そんな僕を、今度はおばあちゃんが面倒を見ることになって、幼いながら、全部自分のせいだと、何もかもを恨んだ。
そんな時に手を差し伸べてくれたのが、同じ村に住んでいた同い年の女の子、沙希だった。
沙希はちょっと天然で、楽しい時は飛び跳ねて喜んだり、悲しい時は一人で蹲って泣いたりと、全身で感情を表現する子だった。
彼女は年が近い僕が近くに引っ越して来たという情報を聞きつけると、しょっちゅう家に来ては、部屋に引きこもっている僕を外に引っ張り出してくれた。
初めのうちは、いちいち反応するのが面倒臭くてそっぽを向いていたけれど、彼女のしつこさに観念した僕は、次第に外に出るようになった。
沙希は女の子らしいなんて遊びなんか全然興味がないといった感じで、草むらを見つけては躊躇なく飛び込んでいき、バッタやカマキリを捕まえては僕に渡すという遊びにハマっていた。
虫が苦手な僕は草むらには入らず、沙希が捕まえてきた虫を気持ち悪いと思いながらも、次々と虫籠の中に放り込んでいく。
そのうち沙希の捕獲遊びはどんどんエスカレートしていって、それこそ世間的にあまり好ましいとされていない虫も探すようになって、時々かぶれたり刺されたりしては、お母さんに怒られていた。
時々暴走する沙希についていけてない部分もあったけど、それでも、いつも全身で楽しむ沙希と一緒にいると、僕も同じような気持ちになっていったんだ。
次第に行動範囲を大きくしていった僕たちは、小さな神社の敷地内にある古びた小屋を見つけた。それを秘密基地にすることにした。
その神社は、一人のおばあさんによって綺麗に手入れがされていた。
ある日、僕らは小屋を秘密基地にしていることがおばあさんにバレてしまった。でも、怒られるかと思いきや、おばあさんは優しい顔をして「ケガをしないように気をつけるんだよ」と言っただけで、そのまま秘密基地での活動を認めてくれた。
そして、秘密基地が僕らの遊び場として定着し始めた頃、あの事故が起こった。