お店の外を出ると、もうすっかり日が暮れかけていた。水平線上に夕焼けの光がわずかに残っているだけで、上空は澄んだ暗闇に侵食され始めている。
昼間は雲に覆われていたけれど、この時間になると、雲は無くなっていて、代わりになりかけの夜空は、星を姿を映し出していた。
カバンからカメラを取り出してシャッターを押したい衝動に駆られたけれど、茂さんがいるからやめておいた。
静まりきった駅のホームには、私達以外に一組のカップルがいるだけ。
彼らは手を繋ぎながら空を見上げていて、幸せそうな雰囲気を醸し出していた。私達は少し離れたベンチに腰掛けて電車を持とうとしたけれど、幸い電車はすぐに来た。
電車内は駅で空を眺めていたカップルと、仕事帰りと思われるサラリーマン、大学生くらいの人。
カップルは一緒にスマホの画面を覗き込んでいて、それ以外の人はイヤホンを耳に付けて、音楽を聴いていた。みんなきちんと自分達の世界を持っているようだった。
「お母さんは元気?」
「はい。毎日家に帰ってくるのが遅いのにいつも元気です」
「姉貴は子供の頃から活発だったからね」
「……」
お母さんは本当に元気なんだろうか。
「いえ、本当はよくわかりません」
「どういうこと?」
「私の前では……いつも無理をしているような気がするというか、元気なふりをしているような気がします」
「そっか、お母さんのことが心配なんだね」
「はい……」
それから茂さんは、何も言わなかった。
昼間は雲に覆われていたけれど、この時間になると、雲は無くなっていて、代わりになりかけの夜空は、星を姿を映し出していた。
カバンからカメラを取り出してシャッターを押したい衝動に駆られたけれど、茂さんがいるからやめておいた。
静まりきった駅のホームには、私達以外に一組のカップルがいるだけ。
彼らは手を繋ぎながら空を見上げていて、幸せそうな雰囲気を醸し出していた。私達は少し離れたベンチに腰掛けて電車を持とうとしたけれど、幸い電車はすぐに来た。
電車内は駅で空を眺めていたカップルと、仕事帰りと思われるサラリーマン、大学生くらいの人。
カップルは一緒にスマホの画面を覗き込んでいて、それ以外の人はイヤホンを耳に付けて、音楽を聴いていた。みんなきちんと自分達の世界を持っているようだった。
「お母さんは元気?」
「はい。毎日家に帰ってくるのが遅いのにいつも元気です」
「姉貴は子供の頃から活発だったからね」
「……」
お母さんは本当に元気なんだろうか。
「いえ、本当はよくわかりません」
「どういうこと?」
「私の前では……いつも無理をしているような気がするというか、元気なふりをしているような気がします」
「そっか、お母さんのことが心配なんだね」
「はい……」
それから茂さんは、何も言わなかった。