「いや……でも」
どうしたらいいものか。僕は分からなくなった。
「どこか……休憩できる場所があったら…」
ここは、人通りのない歩道だ。ずっと歩道に横たわらせておくわけにもいかず、僕は自分の家が近いので、彼女をとりあえず自分の家に連れていくことにした。
「立てますか……?」
彼女は頷かなかった。まぁ、当然だろう。
僕は彼女をおぶって、家に帰ってきた。
そのままリビングのソファーに横たわらせる。
家に着いた時にもう一度声をかけたが、ハァ、ハァ、という息遣いはなくなっていて、代わりに寝息が聞こえてきた。
なんだ、この人寝てるだけじゃん、とか思ったが家まで運んでしまった以上道端に放り出すなんてこともできず、とりあえずソファーに横たわらせた。
自室で課題を済ませた後、リビングに行くと、彼女はちょうど起きたらしく
「ん!?ここどこ!?監禁…!?」
とか、騒いでいた。そりゃあ、そうなるだろう。知らない人の家に自分が寝ていたら。
僕の存在に気づいた彼女は、
「誰よ、勝手に監禁して!早く出しなさいよ!この、変態!!」
と叫び始めた。寝ぼけているのだろうか。助けてくれた人に初対面で「変態」はないだろ。