面会終了時刻のギリギリまで、僕は星野と話していた。
「じゃあ、またね」
「うん、また会いに来る」


それから僕は時間なんて惜しまずに毎日のように星野に会いに行った。
ある日、いつものようにノックをすると、星野じゃない人の返事がした。
中に入ると、星野の他に、一人の女性がいた。
「美織、この人は…？」
女性は、星野にそう訊いた。
「お母さん、この人はね、私の彼氏なんだ！」
そう言うと星野は僕の手を引いてお母さんらしき人の前に連れてくる。
「あの、僕は星野さんとお付き合いさせていただいています、京星奈と申します」
緊張のあまり、声は上ずって、手汗が止まらなかった。
「京、星奈くんって、どこかで聞いたような…」
お母さんは突然そんなことを言い出した。
「お母さん！とりあえず私の彼氏は京くんね」
「え、あ、うん。京くん、うちの娘をよろしくね」
「あ、はい！」
僕は緊張しすぎて、カチカチになってしまった。