僕の世界に君は色を付ける。

僕は、アイシャドウというものを買った後、一緒に考えてくれた店員さんに一言お礼を言って、お店を出る。
「何か買ったの?」
星野と合流して、僕はそう訊く。
「ううん、化粧品はとりあえず我慢した。持ってきてるお金、今日全部使っちゃいそうだから。そしたら明日の分なくなっちゃうし」
そう答えながら化粧品売り場を後にする星野の顔には、やっぱり少し残念そうな色が滲んでいて。だから、買ってよかったな、と僕は思った。


夕方ごろ、ホテルに戻った。スイートルームなだけあって、やっぱり広い。とにかく広い。あとは、夜景。息をのむほど綺麗だった。
「京くん、ちょっと、いいかな?」
「え?いいけど」
星野は、もじもじしながら背中に隠した何かを僕に手渡してきた。
「……いつもありがとう、それ、私からのクリスマスプレゼント。私は…」
そこで、星野の言葉が途切れた。どうしたのかと思っていると、星野は背伸びをして、僕の唇にキスをした。