僕の世界に君は色を付ける。

「……は?」
そういえば事故に遭ってから一切、恋、というものをしていなかった。
その前は聞いた話、僕はずっと一人の女子を想っていたらしい。
その人が誰なのかも思い出せないけど。
「……恋、してんのかな」


「すげぇ、それ、恋じゃん」
あの日から一週間ほど経ったある日、すっかり打ち解けた友達、早見と昼休みに購買のパンを食べながらこの間のことについて話していた。
「へぇ、あの星奈が。やったじゃん」
「……かな?」
「うん、応援しかできないけど、頑張れよ」
「……何を」
応援、と言われても、何をするのか全く分からない。
「は、何をって…。告るんじゃないの?」
「星野に?」
「え、そりゃあ、そうだろ」
好きだと、恋をしている、ということは自覚したが、だからといって告白とか、まだそういう思考にはなっていなかった。
「……どうやって?」
「マジ?星奈って恋愛初心者?ドラマとかで見たことない?」
「いや、ない」