「うん、なんか、前は『俺と関わるな』的なオーラ出てて、話しかけづらかったんだけど」
「へぇ、なんか、ひどいね」
「はは、ごめんて。一緒帰ろうぜ！」
「いいけど。ていうか、名前なんだったっけ？確か……えっと…」
ダメだ。こういう時に限って思い出せない。
「京こそ、ひでえな。俺は、早見日向。たしか、京の下の名前って」
「星奈。京、星奈」
「いや、京の星奈っていう文字さ、男だと珍しいからさ、最初女子だと思ってたんだよね」
こんな感じで打ち解けて最終的には名前の呼ばれ方は「京」から「星奈」に変わっていた。
「俺、星奈がこんなに面白いやつって知らなかった。また今度一緒に帰ろうな！」
「…うん」
「じゃあな！」
そう言って、早見は僕とは逆方向に向かって歩き出した。
…まさか、自分がここまで変わるなんて、微塵も思っていなかった。