「……へっ?」
そこにいたのは、あんまり話したことはないが、なんとなく知っているクラスの女子だった。
「えーっと、確か…」
「神野麻衣。美織の友達」
「……はぁ。それで?」
「いや、なんとなく、京くん余ってたし美織が最近『京くん、めっちゃいい子なんだ!』なんて言ってたから、試しにペアになってみようかと思って」
いや、人の事しれっと『余ってた』なんて言うなよ、と思いつつも承諾した。


「ねぇ」
並んで順番を待っている時、神野さんが話しかけてきた。
「何」
「京くんってさ……美織のこと好きなの?」
「……は?」
「『は?』って何よ」
そりゃあ、誰でも唐突にそんなこと訊かれたらこんな反応にもなるだろう。
「…いや、別に」
そこで会話は途切れ、そのあとは普通に走って終わった。

「京くーん!!寂しかった?友達いなくて」
更衣室から帰ってきて一番に声をかけてきたのは、まぁ予想もつくだろう、他でもない星野だった。