「リレーの順番を決めるためにタイムがいるので、二人ずつ走ってもらいます。各自ペアを作ってください」
体育の時間の一番最初女性の体育教師はそう言った。
僕は、この言葉を悪魔の言葉だと思っている。僕みたいな典型的陰キャは、大抵最後までぼっちとして残り、最終的に余ったもの同士でくっつけられるという宿命だ。
今日もまた、周りがそれぞれ自由にペアを組んでいく中で誰が声をかけてくれるわけでもなく僕は1人呆然と立ち尽くしていた。
『京くーん』
ふと、そう呼ぶ星野の姿が脳裏をちらついた。別に、そこまで仲良くなったわけでもないが、不覚にも星野がいたらなぁ、と思ってしまう。
仮に星野がいたとしても、こんな僕みたいな陰キャと一緒にペアを組むかといったら微妙だが、もしかしたら、万に一でも声をかけてくれたかもしれない。
「……ちょっと。聞いてる?おーい」
星野のことを考えていると、そんな声が聞こえてきて、誰かが僕の目の前で手を振った。