そう言って星野に連れてこられたのは、水族館だった。
「……なんでここ?」
「いやー、一回行ってみたかったんだよね。この水族館。でも一人で見るのもなんかさ。だからここ」
「それなら、僕じゃなくて他の女子友達とかと来た方が楽しかったんじゃない?」
いや、多分そうだろう。
「それがさー、みんな今日用事あるんだって。でも私明日はダメだからさ。だから、比較的暇そうな京くんにしたってこと」
僕を呼んだ理由は、暇そうだから、という、完璧な偏見だったらしい。まぁ、間違ってはいないのだけど。実際暇だし。
「…へぇ」
「ほら、早くチケット買って中入ろうよ」
「うん」
水族館には、事故に遭う前に何回か行っただけらしく、それ以来だ。
「……久しぶりだな」
こうして二人で水族館を一通り見終わった後。
「ねぇ、お腹減った」
という星野の要望に応えて、水族館の入っている大型商業施設の中にあるレストランで少しだけ早めに昼食をとることにした。