僕が言おうとしていたことをさえぎって星野は僕の手を握り、歩き出した。
……この人、この間話すようになったばっかりなのに、なんか距離感近いんだよなぁ……。
「あ、そういえばさ、どう?」
駅の改札に歩きながら星野が訊いてくる。
「…何が?」
「何が?って、洋服だよ」
言われて初めて今日の星野の恰好に注目する。
「ねぇ、どう?」
学校の制服とは一変して、今日は袖口にフリルのついた可愛らしいブラウスにベスト、ミニスカートで、厚底のローファーを履いていた。そして、目元にはほんのりと色が乗っている。
「…うん。いいんじゃない」
「え、反応薄っ。地味に傷つくー」
「いや、良いも何も僕に君の洋服について口出しする権利はないから」
「あはは、まぁ、そうだね。じゃあ、行こうか」
「え、どこに?」
僕は、今日駅に来てとは言われたが、何をするとは言われていない。
「まぁまぁ、それはお楽しみってことで」