「…帰ってあげようか、なんて君に上から目線に言われる筋合いないんだけど。それに、僕は一言も君と帰りたい、なんて言ってないし」
僕がそう毒づいても、星野はまったく顔色を変えず、
「ごめんごめん、ちょっとからかっちゃった。一緒に帰ろうよー」
「無理、断る」
「えーっ!用事?」
そう訊いてくる星野の顔は少しばかり残念そうにも言える。
「……いや、別に」
「なら、いーじゃん!ほら、帰ろ!」
その後、何度か断り続けたが、星野の粘り強さに圧倒され、結局僕が折れることになった。


「ねぇー、帰りにちょっと遊ばない?」
沈黙の空気を破り、星野がそう提案してくる。
「……は?」
「いや、君用事ないってさっき言ったよね?」
「それは……言ったけど」
ここまで言ってしまった手前、嘘をつくことはできないため、僕は渋々頷く。