星野は、僕のそんな言葉にとんでもなくキラキラとした笑顔でそう答えた。
……その当たり前が僕にとっては当たり前じゃないんだってば。
そんな言葉を僕は飲み込んで、
「……へぇ」
と答えた。



すべての授業が終了後、いつものように荷物をまとめていると、後ろから何やら誰かの手のようなものが伸びてきて、僕の視界を完全にシャットアウトした。
「うわっ……!?」
急に飛びつかれ、つまずきそうになるのを、なんとかこらえる。
「ふふっ、だーれだ!!」
僕の耳元から聞こえるいたずらなその声は、最早当てるまでもなく、星野だった。
「……どうせ君なんでしょ、星野」
僕が、少し気だるそうに返事をしたにも関わらず、朝とまったく変わらないテンションで、
「あったりー!!さすが、私の友達ー」
と言って、肩を叩いてきた。
「…痛いんだけど。で、何?」
「いやー、君とも友達だし、一緒に帰ってあげようかなー、なんて思ってね」