「友達、じゃなくて、彼女、の方がよかった？別に、それでもいいよ？私彼氏いないし」
……やっぱり碌なこと言わない。
「……」
僕は、星野のせいで逃げるために走るのも癪なので、少し早歩きした。
「あー！逃げた！！ちょっとー待ちなさいよ！」
星野はわざとらしく頬を膨らますと同じく早歩きで追いかけてきた。
「別に逃げてないよ、一人がいいから」
「もう、君は釣れないなぁー」
そう言いながら追いかけてくる星野は、早歩き程度だが、次第に息が切れてきたらしい。
「ちょっと、君ー。止まりなさいよー」
語尾にびっくりマーク（正式名称はエクスクラメーションマークらしい）のつきそうなハリのある声も次第に弱弱しくなってきた。
ふと後ろを振り返ると、さっきまで同じくらいのスピードで追いかけてきていた星野は、かなり後ろの方で、肩で息をしながら立ち止まっていた。
「ちょっ……」
突然蹲りだしてぼくは思わずぎょっとする。